昭和初期の煙草パッケージ (8)
今回紹介するのは「Selika」「Minaret」「KRONOS」「CRAVEN “A”」の4つ。
コレクションについての概要は以下からどうぞ。
※地名などはコレクション上の表記を踏襲しているため当時の名称が含まれます
34. Selika
- 10 CIGARETTES
- The “ATLAM” Cigarette Factory
異国情緒あふれるこのタバコは、祖父メモによると昭和12・13年頃のカイロ(エジプト)のものらしい。このあたりになると日本語でのソースがほとんど見つけられず、断片的に出てきた情報によると
- 社名の「ATLAM」は「MALTA(地名)」を逆さまにしたもの(なお、MALTAはこの頃イギリス領だった)
- ATLAMのタバコには「Atlam Celebrities」という名のカードがついており、そこには当時の著名人(俳優、シンガーなど)がプリントされていたらしい
…らしい。
プロ野球チップスのカードのような、コレクターカード的な意味合いを持っていたのだろうか? 残念ながら祖父のコレクションにそのカードは無い。
パッケージのイラストはエジプトだろうか。
35. MINARET
- 10 CIGARETTES
- AFRICAN CIGARETTE CO. LTD.
こちらも異国情緒あふれるタバコで、アフリカのものらしい。うっすら残るスタンプには「日本政府 13. 7. 13 自用煙草商標」と書かれている。
「ミナレット」といえばモスクなどのイスラム教の宗教施設にある塔のことを指す。アフリカのモスクといえばモロッコのハッサン2世モスクが有名だが、ハッサン2世モスクのミナレットは角張った形が特徴的で、このパッケージのものとは全く違う。トルコのブルーモスクにミナレットの形状は似ているが、モスク自体の形が違う。エジプトのムハンマド・アリー・モスクも近い気がするが、ミナレットの本数が違う。
…ということで結局どこのモスクかは不明。
36. KRONOS
- 10 CIGARETTES
- A. G. COUSIS & Co., CAIRO MALTA (Established 1872)
Selikaに続きエキゾチックなパッケージの煙草である。どうやらこのメーカーの煙草にもSelikaと同じようにコレクターカードがついていたようだ。また、他に日本向けの煙草として「MIKASA(三笠)」という名のものも製造していたらしい。この煙草も左端をよく見ると「suppliers to the japanese monopoly and to the tunisian regie」と書いてある。しかしパッケージのイラストがどういう状況なのか、どこのイラストなのかは不明。
時代は昭和12, 3年頃のもの。
32. CRAVEN “A”
- London Wonder Factory by CARRERAS LIMITED (Established 1788)
前回の記事に続き、2回目の登場となる。これも前回と同じ昭和14年のものだが、前回は10本入だったのに対し、今回は20本入のバージョンらしい。それ以外は載っている内容等に差はないが、パッケージの横幅が広がった分、実はフォントも横幅の広いものに変更されていたりする。なんとも緩いレギュレーションである。(↓が前回掲載した、10本入)
今回はこれにて。